1.「ヒアアフター」 クリント・イーストウッド
別格でした。映画に限らず、今年あった出来事、出会った人、読んだ本、聴いた音楽……、すべての中で断トツの1位。いろんな人のレビューや批評を読んだけど、ぼくが見たこの映画のことを語ったものにはまだ出会えてません。本当だったら自分で書ければ一番いいんだけど、いまだに何書いていいか分からない。地震の2週間前に日本でこの映画を見たっていうのも後づけだけどすごい体験だったと思います。料理教室とブックフェアに行ってみたくなりましたね。そういうディテールもちゃんとした映画なんです。でも全体像が何かおかしい。捉えきれないくらい大きい。そんな感じです。後戻りができないという点でコミュニストの映画ですね。政治的な意図まったく抜きの断トツ1位です。
2.「X-MEN:First Generation」 マシュー・ヴォーン
これが上位に来る人は多いと思うけど、素直に面白かったよね。いわゆる「エピソード0」ものとして、政治劇として、ヒューマンドラマとしてお手本のような出来映えでした。ケヴィン・ベーコンっていう役者は顔で損してるけど、すごい名優ですね。
3.「モテキ」 大根仁
これは生粋の「2011年の」ベスト。10年後に見ても面白いかどうかわからない。今のサブカル、今のマサミ丼、今の空気……。それくらいこの映画の中の風俗の今が面白かったと言うことで。賑やかな夾雑物に覆われたこの映画のラブストーリーとしての本質もそれ自体として悪くなかったと思うんだけど、消費に耐えうる良質な「コンテンツ」以上のものにはなれなかったんじゃないかな。良質なコンテンツっていうだけでも今日的にはすごいことなんだけどね。
4.「トゥルー・グリット」 コーエン兄弟
コーエン兄弟の西部劇。「ウル」的には一番来た一本。あの世界観、あの最後の台詞を聞くためだけに何度でも見たいと思うようなキャピタリストの映画。DVDとかになって微妙に日本語の言い回しとかが変わってるのがむかつくからやっぱり映画館の字幕で見たい。
5.「クリスマス・ストーリー」 アルノー・デプレシャン
デプレシャンはこういう胃がキリキリするような映画ばっかり撮ってればいいさ。見る方も1年に1本が限度だけど。前作と続いて、家族、特に親子の確執を、年に一度クリスマスに集う家族の群像劇の中で描き出す。パワフルで緻密でエモーショナルなんだけど、すごい好きになれるタイプの映画ではない。また見たくはなるけど。
6.「ミッション:インポッシブル ゴーストプロトコル」 ブラッド・バード
こういうのをベスト10に入れなきゃウソなんだよ、という政治的意図込みの6位。見たあとの記事に書いたけど、個人的にはもっとハードボイルドに振ってほしかったから不満はあるんだけど、あのコミカルな演出が評判いいみたいね。でもまあどう転んでもつまらなくはないから安心して見て。お正月映画。
7.「ゴーストライター」 ロマン・ポランスキー
ロケーションと色彩設計が勝因なのは間違いないんだけど、あの無機質な大統領のプライベートハウスとかインテリアとか空間の使い方も絶妙でした。奇をてらったことはしてないんだけど、脚本も演出も外してないまさに巨匠の1本でした。
8.「人生万歳」 ウッディ・アレン
数あるアレン作品のうちの1本と言われればそれまでなんだけど、何かいいですよね。年取って偏屈なじじいになっても若い女の子と暮らせるとか夢がひろがりんぐw
9.「毎日かあさん」 小林聖太郎
邦画が「モテキ」1本っていうのもさみしいしね(邦画自体あまり見てないというのはあるけど)。上岡隆太郎の息子の1本目にして、なかなか力強い1本でしたよ。キョンキョンと永瀬っていう元夫婦共演が話題になったけど、そこは全然ドキドキしなかったんだよなぁ。なんか2人とも枯れてる感じがして。チャラと浅野忠信でも撮ってくんねえかな。
10.「キラー・インサイド・ミー」 マイケル・ウィンターボトム
無理矢理入れましたね。「ソーシャルネットワーク」より、「ブラック・スワン」よりこの映画の方が上かって話になったら、そんなわけはないですよ。しつこいようですがジェシカ・アルバのお尻に一票。
ワースト3
1.「ウォールストリート」 オリバー・ストーン
「可能な限り野暮ったい映画撮って下さい」ってオファー受けたらこういうのができるのかな。
2.「ブルーバレンタイン」
絶賛してる人が多かったけど、全然入ってこなかった。過去と現在を行ったり来たりも別に作劇的にうまくはないと思うんだ。というか気づいたんだ。俺はバカがバカなことをしているのを見るのが現実でも映画でも嫌いなんだ。なぜならそれは自分の似姿でしかないから。なんつってw
3.「恋の罪」 園子温
「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」と面白かったんだけど、これはひどかったな。そのひどさっていうのが園子温の本質的な雑さ、緻密さの欠如、丁寧さを軽視するアティチュードに起因してるわけで、後づけで他の映画も全部ダメだったってことがわかった。

