タマフルで聞くまでノーマークだったけど宇多丸先輩が絶賛してたので速攻行ってみた。ユーロスペースがラブホ街の中に移転してから足が遠ざかったのは僕だけじゃないと思ってたんですけど、ミニシアターはセックスとの親和性がそれほど低くなさそうで残念です。
で「サウダーヂ」。誰がみても楽しめるってタイプの映画じゃないけど、今スクリーンで見ることに意味がある映画の一本だってことは間違いない。内容は、「甲府ネイティブの土方、ラッパー、エステティシャン、無尽女子と出稼ぎブラジル人、タイ人らが交錯する閉塞した日常」という説明とほぼ等身大の期待を裏切らないものだと思う。何それ、面白いの? それが面白いのだ。
この盆地にいくつかの対立軸を生み出しているのは、彼らの思い描く「ここではないどこか」=理想郷像の相違だろう。それは単に民族の対立に基づくものばかりではない。それは隣人だと思っていた夫婦間、友人間、同僚間でこそ際立ってしまう。
この映画の細部を取り上げて、ここが良かった、ここは好きじゃないということはどこかためらわれる。なぜなら「サウダーヂ」はそんな細部の集積によってしか成立していないからだ。そしておそらくはそんな風に鑑賞するのがこの映画の正しい楽しみ方なんだと思う。でもそれはお前ん中でやれよ、というのがこの映画の謂であるような気もしてね。
ひとつだけ、ラッパーが先輩土方二人にタイパブに連れて行かれて一人でシャッター通りを帰って行く横移動の長回し。垂れ流していた愚痴がリリックに変わっていくところはすごい好きだった。
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