新ピカで見たのに聖戦ケルベロスに夢中でカードにポイントつけるの忘れた。痛い。ネタバレしてますから気にする人は注意してください。
「ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル」 ブラッド・バード
口開けて見てるだけでそりゃ面白いんだけど「MI」ってこんな作風だったっけ。というのも、ざっくり言ってこういうスパイものって容赦なく「ハードボイルド」でいいと思うんだけど、ちょいちょいギャグとかオフビートな間とかをはさんで来るのはなんなんだろう。
「ザ・タウン」のときはメチャクチャ怖かったジェレミー・レナーもマグネットスーツ着て熱々のサーバー室に入れられるとか日本のバラエティー番組みたいだし、サイモン・ペグなんて顔からして緊張感がまるでない(実際顔オチみたいなギャグが何度かある)。ブロンドとブルネットのキャットファイトも見所のひとつなんだけど、文字通り観客を空中に放り出すような幕切れもあっけにとられる(それまでの「あいつは大事な情報源だから絶対に殺すなよ」というトム君の念押しが周到なフリとしてしか機能していない)。核戦争の危機といっても、いやミサイルが発射されて以後ですら、それ自体に肝を冷やすような場面はまったくないと言っていい。「どうせ世界救っちゃうんだろう、不死身のトム君が」というある種の諦念のようなものに支配された作り手が、「ほらね」といわんばかりに観客に諦念の共有を促してくるのだ。("Mission complished !"と叫びながらリターンキーを押すトム君を劇中で事後的にも笑いにするという念の押し様)
まあ彼の諦念というのもわからんでもないし、ギャグはギャグで成立してて面白いんだけど、そこは「ハードボイルド」に踏みとどまらないといけないところだと思うんですよ。トム・クルーズ(50)にはやはりまだ世界の重石として機能してもらわないと困るから。バカバカしいくらい徹頭徹尾キメキメでやってみてそれでつまらなかったら、そこで初めてオモロに振ればいいと思うんですね。簡単に言うと「笑いに逃げるな」ってことになるんですかね。「笑い」が難しいのももちろんわかるし、この演出家の希有な資質がそこにあるのも評価したいけど、ハードボイルドは飽くまでハードボイルドだど。
「リアル・スティール」 ショーン・レヴィ
うまいし、ちゃんと押さえてるんだけど何だろう。もっとエモい映画にできるのにって思う。実際、最近とみに涙腺の緩んだ「ウル」と化してるんで、基本何でも泣けるんですが、泣こうと思っても上手に泣けない的なシーンが多かったです。
作り手を含む「時代」が「ダメ親父」を許容してくれてないっていうのが何より辛いかな。ダメじゃダメなんだっていう。裁判所も里親もこの人にならこの子を任せられるっていう「完璧な父親」にまでならないとダメなんですね。そこが息苦しい。
ダメ親父が「できた子」に成長させてもらうっていうのはいいんだけど、親父の無鉄砲さ・無計画さと子どもの周到さ・緻密さのコントラストを描くと同時に、親父のビフォー・アフターの変化のコントラストも見せないとダメなんじゃないかと思うんですね。「できなかったことができるようになる=成長」これをもっと明確に描いた方が構造的に「泣ける」と思うんです。それに、いきなりエキシビションマッチで一番強い奴とメインイベントでやるとか、「小さく勝っていこうよ」って言ってた子どもの言葉とも矛盾するし、何よりリアリティーを欠いてしまうと思うんですね。大筋では涙腺決壊に持って行けるストーリーだと思うんだけど、なんかもったいなかったなぁ。泣いてる人はメチャクチャ泣いてましたから、ぼくの体調がよくなかったのかもしれません。聖戦ケルベロスのやりすぎで。
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