「ソーシャル・ネットワーク」デビッド・フィンチャー
冒頭のパブでのガールフレンドとの会話が素晴らしい。主人公のマークの肥大した自尊心と本来それとは矛盾するはずの過剰な非承認願望。最初の5分でこの映画のテーマのすべてを語り尽くしてる。「有名になってお金持ちになってモテたい」。マークの「クラブ」に象徴される病的な非承認願望の強さはそうした通俗な欲望を軽く凌駕するほどのものだ。「ナップスター」の生みの親であるというだけで胡散臭いITゴロのショーンに素直に熱を上げてしまうのも彼が権威だからだ。(実際にショーンには独特のクールさと経験がある。凡百にはわからない天才の匂いを嗅ぎ取ったとも言えるかもしれない)
マークの目的は金でも女でもなく彼の考える「クール」を実現することだったと思う。相棒のエドゥアルドがグルーピーに浮き足立っても、ショーンの目当てがドラッグとセックスでもマークの頭にはフェイスブックのことしかない。
そういうやつとはどんな勝負をしても勝てない。そういう教訓劇だ。ハーバードの学長の言うように我々学生に求められているのは正しくあることではなく、常に創造的であることだ。その勝負から降りたものに栄光はない。ボート部の双子が徹底的にダサく描かれていたのも素晴らしい。ただ今年(アメリカでは2010年)を代表する1本とか言われると、さすがにそれはないと思う。
ところで私には莫大な富を生み出す未着手のアイデアがあるんだ。今ならヨーグルトチェーンくらいの値段で誰かに譲っても構わないと思っている。じゃないと自分でCEOやるよ、ビッチ!
「冷たい熱帯魚」園子温
まあでんでんさん(面識があるのでさん付け)の終始ハイテンションな怪演で150分は長く感じなかった。最初の諏訪太郎をアレしちゃうところの雰囲気とかちょっと常軌を逸してて面白い。実際にこういう人いるし、何とか性人格障害で片付けられちゃうのかもしれないけど、常にあらゆる人に対して潜在的に精神的優位に立つことの出来る人というのには興味がある(ソーシャルのショーンを演じたジャスティン・ティンバーレイクにも通じる。反感を抱かせながらも服従させる)ピカレスク・コメディっていうジャンルがあるかどうか知らないけど、これはそんな映画。エロもグロも思ったほどではなく、ほどほど。
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