2011年2月12日土曜日

スクリーンから自己愛がアフレック

「ザ・タウン」ベン・アフレック
 アメリカではいつからなのか悪者を格好良く描くなとか最近では喫煙者を格好良く描くなという訳の分からないPCが浸透しているんだけど、そこにもうひとつ付け加えてほしい。バカを格好良く描くな。バカはちゃんとバカっぽく描け。
 生まれついての犯罪者みたいな連中の中でなんで監督・主演たるベン・アフレックは全然バカっぽくないの? 周りの奴らは本当に救いようのない底辺のバカでクズなのに、主人公だけはクールでスマートで銀行の支店長を務めるようなキャリアの女と付き合えるっていうところにアメリカンドリームを感じる。。。わけねえだろ。
 ムショ暮らしかシャバにいても犯罪で生計を立てるしか生きるすべを知らない連中。とまではいかなくても僕らの周りにはグリーとか韓国ドラマとかAKBとかパチスロとかそういう事にしか興味のない精神的底辺にいる人間はいくらでもいて、もう十分うんざりしているのですよ。そういうのがどれくらい自発的に愚かであることを選択しているかっていうことはごまかさないでちゃんと描いていただきたい。

 とまあ、個人的ルサンチマンはそれくらいにして、結構面白かったですよ。特に冒頭の銀行強盗のディテール。防犯ビデオの録画HDDを電子レンジでチンするとか、指紋を消すため(?)に漂白剤をばらまくとか、そういうつまらないところには感心した。けど、さすがに捕まるでしょ。こんなこと繰り返してたらっていうレベル。こんな生活をせざるを得ないという「環境」はよく説明されている(結果的に取ってつけたようにはなってるが)と思うんだけど、主人公と武闘派のジェレミー・レナー(マジで怖い)の濃密なはずの絆みたいのが実感できなかった。花屋のピート・ポスルスウェイトも同じ。小さい頃からこの街の支配下にいるという感じが主人公にないのだ。潜入捜査官って言われた方がまだ納得出来る。なぜならひとりだけ気取ってるから。

 こういうのを見ると、北野武っていうのは俳優としての自分を客観視できるという能力に恵まれた人なんだということがわかる。繰り返すけど、意外に面白かったんですよ。まあベン・アフレックが「ミスティック・リバー」をやったらこうなるよねっていうくらいは面白かった。

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