「トゥルー・グリット」コーエン兄弟
復讐の物語じゃないんだよね。だからそこでのカタルシスはほとんどといっていいほどない。お父さんが殺されるところは回想シーンで、既に犯人は逃げた後だし、「達成の瞬間」も感情的なドラマタイズはまったく感じられないあっけないものだ。年取ったおじさんと若いおじさんと少女のコーエン兄弟版「都会のアリス」とでもいうべきロードムービーだと思う。
ラストで主人公の少女が大人になってこの旅を振り返るとき、対話相手の言葉を洒脱に引用しつつ道中を評する彼女の短い言葉は道中をともにしてきたぼくらの胸に深く突き刺さる。対話の相手ではなく観客のぼくらの胸に深く突き刺さる。たぶん発話者本人にも。ここは遠慮しないで号泣するところだった、と後悔。結局こういう「文学的」なのに弱い。俺の限界w ラストで泣くためだけにもう1回みたい。
「ブルー・バレンタイン」
ごめん。全然ピンとこなかった。帰ってからこの映画を今年1番の号泣映画と絶賛していた町山氏のポッドキャストを聞いたが、やはりピンとこなかった。町山氏はこの映画をキャリア指向のリアリスト(妻)と恋愛指向のロマンチスト(夫)との葛藤、すれ違いと自らの実体験に引き寄せて解釈していたと思うが、ぼくの感触はまったく違った(町山氏と奥さんの話の方がこの映画よりもよっぽど面白い)。
男は中卒で申し訳程度に塗装工をやってるだけ。女は初体験が13歳で大学生で不本意な妊娠をするまでに経験人数25人というビッチ。娘の種(父親)は大学時代のボーイフレンド……。終始「お似合い」のカップルにしか見えなかったし、早婚DQNカップルの来たるべくして来た別れ話としか見えなかった。ぼくの中にはこの映画を現実の相似形として自分と重ねて見るような器がなかったってことなんだと思う。ドンキとかエグザイルが好きな人にオススメ。
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