2011年10月17日月曜日

とりとめのない一命

「一命」 三池崇史
 海老蔵は女騙して金借りろよ。何のための刀ぞ!

 で言いたいことの9割は言い切ったんだけどちょっと補足。すっごい平たく言うと「生活保護を巡って争うニートとお役所」みたいな構図の映画だと思うんだけど、だからこそどっちにも肩入れできないんだよね。お役所はお上のプライドにこだわってないでもうちょっと柔軟に対応しろよって思うし、ニートもつまんないプライド捨てて働けよって思う。

 でも実際はそこも本題じゃなくて、実際にこの悲劇の発端になったのはプライドを笠に着た単なるお侍さんの意地悪だったわけで、これって構造的な悪と同一視していいのかなってちょっと疑問に思うんですよね。確かに彦九郎って人は意地悪を一方的に行使できる立場に居てこの上ない意地悪を行使したんだけど、それだけで圧倒的に卑怯だってことは一目瞭然じゃないですか。息子同然に育てた娘婿(瑛太)がさんざんな辱めを受けた挙げ句にむごたらしい死を迎えたことを発端に、娘(満島ひかり)と孫を失ったことに対する怒りはもっともなんだけど、復讐にいたるまでの十分すぎるほどの「貧困描写」は決して復讐への動機付けを補強するものにはなっていないんですね。だから海老蔵がたれる「講釈」にはとても釈然としがたいものがある。意地悪した人に復讐したところで終わりでいいじゃん。まあそれだけじゃ気が済まなかったから本気で暴れたっていうだけの話だと思うんだけど、それにしては重厚っぽい話にしすぎかなと。変な哲学を持ち込んだことで対立の構図をわかりにくくしてしまっていますね。「十三人の刺客」くらいわかりやすい勧善懲悪の方が三池崇史には合っていると思います。じゃないとこの映画みたいに残酷描写や悲惨描写が宙に浮いてしまう。

 あと、この映画3Dということなんですが、あまり魅力を感じなかったので2Dで見ました。しかもシネスコだったんですが、その必要性もよくわかりませんでした。あの暗い画面で偏光レンズのメガネかけてみたら余計暗くなるわけだから。

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