2012年5月31日木曜日

パリに萌えているか

「ミッドナイト・イン・パリ」ウッディ・アレン
1年くらい前からずっと楽しみにしてたこの映画。現代のアメリカ人の脚本家が20年代のパリにタイムスリップって聞いただけでうっとりしてたんだけど、見たらもっとうっとりしちゃったっていう。冒頭の観光名所を次々に見せてくシーンが結構長くつづくんだけど、見てるうちに「これで2時間でもいいな」と思っちゃった僕の負けですね。ベタなんだけどリアルな空気感のあるパリ。まず観光映画として満点。まあうっとり見てればいいだけだから、メタな視点で書くことは何もないんだけど。

パリが恋人たちにかける魔法っていうのはいわば両刃の剣で、魔法をかけると同時にそれまでかかっていた魔法を解いてしまうんですね。つまり、「恋に落ち」た男や女は今までいた場所を否定せざるを得なくなってしまう。画家や作家のグルーピーをやってるアドリアナ(マリオン・コティヤール)に一目惚れしたギルも同じで「つーか何であんな話の合わない女と結婚しようとしてたわけ?」って我に返っちゃうのもマジ・ドゥ・パリなわけです。

我に返りつつも見失ってるっていうジレンマをどちらかといえば積極的に楽しんでるように見えるのがものすごくアレンぽいところで、比較的アレン臭の薄い今作で、一目惚れした女のために婚約者の所有物をプレゼントしようとする一連のシーンはもっともアレン的で冷や冷やしながら笑いました。(台詞では「商工会議所にお礼状を書かなきゃ」とかはアレン的でしたね)

ラストにこれからのロマンスを予感させる、蚤の市でレコードを売ってた女の子は「ゴースト・プロトコル」で殺し屋を演じてたレア・セドゥですね。彼女もかわいかった。

芸術や文学の首都としてのパリっていうのが世間一般で知識としてどれくらい共有されているのかちょっとよくわかりませんが、 予備知識はあればあっただけ面白いでしょうね。ヘミングウェイの「移動祝祭日」くらいは読んでから行くと面白さ倍増で見られるかもね。(「若いときにパリで過ごすことができた者は幸運である」のくだりは世界中のこの映画の批評で何千と引用されていることでしょうw)

誰が出てくるかっていう楽しみもあるので敢えて固有名詞を排した感想にしました。ちなみにツッコミじゃないですけど、第2層(「インセプション」的な意味で)で「Parlez-moi d'amour(聞かせてよ、愛の言葉を)」がかかってましたが、これは時代考証的にあり得ないですよね。なんか特別な意図があったんならごめんなさい。

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