気にはしていたんだけどずっと見逃していて、3作目にしてやっと見ることができました。1作目から見とけばよかったというのが正直な感想ですが、この3作目は前日譚を知らずに単体としてみてもメチャクチャすごい映画です。
「ヒップホップ」や「地方都市」という要素からどうしても空族の「サウダージ」を思い出してしまうんですが、入江悠の「SR」の「映画してる感」にはたまらないものがありますね。フェスや面会の長回しとか、ある種のリアリティーをないがしろにしながらも「映画にとってのリアル」を思い切りよく追求している感じがものすごく好きです。だから、あそこで「何で極楽鳥は本気で追っかけてこないの?」とか「なんで看守はあんなに優しいの?」っていうツッコミは無粋なだけじゃなくて、残念ながらこの映画の醍醐味を味わうことに失敗してるという事実を露呈しているんだと思いますよ。そこで「リアリティーがあったらもっとすんなりと見れた」というアングルはわからなくはないですが、結論から言うと間違ってます。ここで見るべきは「リアリティーよりも優先させられた何か」なわけであって、それは両立するものじゃないんです。だって僕たちは「リアル」じゃなくて「映画」を見に来てるんだから。
前半はまだ笑って見ていられるところもあったけど、特に美保純以降はもうユーモアが入り込む隙間がまったくなくなってて、あののっぴきならない状況を数十分も見続けるのは正直つらい。つらいはつらいんだけど、そのつらさに耐えることでしか、あのラストを受容することはできなかったんじゃないだろうか。あの面会シーンだけを見たら絶対にコントか何かにしか見えないけど、あの流れの中だからこそ(おそらくは)彼らの原点である「ラップ」によって関係を修復する、いやむしろ新しい関係を構築することに成功したわけで、マイティだけじゃなくて観客も追い詰められる必要があったんじゃないかと思います。
あと、シネマハスラーで宇多丸さんが、バトルの決勝で八百っちゃう場面に「現実にはあんなことない」というようなことをおっしゃってましたが、僕は当初から「八百を強要されたことでメンタルが崩れちゃって全然勝負にならなかった」という描写だと見ました。まあ本職のラッパーに意見するほどのことじゃないでしょうけど、スポーツでもゲームでもメンタルが崩れて試合にならないっていうことはトップ選手でもしばしばあると思います。
余談ですが「サウダージ」のラストでBOØWYの「わがままジュリエット」が祝祭的かつ夢想的な映像とともに1曲かかるわけですが、入江悠がマキタスポーツのラジオ「はたらくおじさん」にゲスト出演したときにBOØWY(群馬県出身)の「マリオネット」をリクエストしたのも面白かったですね。商業映画でも絶対に面白い映画撮れる人だと思います。
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