2012年5月11日金曜日

スパイは成功のもと


「裏切りのサーカス」トーマス・アルフレッドソン
この「裏切りのサーカス」が「ミッション・インポッシブル:ゴーストプロトコル」と同じジャンルの映画だっていうんだから、「スパイ映画」っていうのは懐が深いね。どっちもブダペストで始まるっていうのも面白い。

登場人物はそれほど多くはないんだけど、1回目に見たときはウトウトしてたもんで見終わってもわかんない部分が結構あったんだけど、その後すぐ2回目見直したら、まったくといっていいほど見逃した部分はなくて、ただ単に理解できていないだけだったというw でも必要以上に説明的にならないことを美学としてるから、親切な映画ではないと思う。今どきのお客さんのリテラシーだと厳しいんじゃないの? ただ、そうは言っても無駄もあるので、枝葉を刈り込んでもっとシンプルな話にしたら傑作になってたんじゃないですかね。

カメラワークでも演技でも極力「アクション」を排した静かな筆致で、老けメイクのゲイリー・オールドマンの背中越しに冷戦下の権謀術数を生きた男たちの物語を描かれるわけだが、脚本が祖国を捨てた男たちの友情というヒューマンドラマに焦点を当てているのに、演出はサスペンス色が強くてそこのアンバランスはちょっとあったかな。ぶっちゃけあんなにみんな怪しくなくていいと思いましたね。早々に死んじゃうジョン・ハートも主人公のゲイリー・オールドマンも顔の出てこない奥さんもみんな怪しい。「こいつは怪しい」っていう演出は簡単だけど、「この人は怪しくなありませんよ」っていう演出は難しいのかもしれんね。そんな風に見せれば見せるほど怪しんじゃうしw

よかったのはゲイリー・オールドマンが後にKGBのトップになった「カーラ」との邂逅を語るシーン。いわゆる「回想シーン」ではなく、カメラはマリファナで瞳孔の開いたオールドマンの顔を正面から見据えたままそのエピソードに耳を傾ける。顔アップとしゃべりだけであれだけ持って行ける俳優さんもいないと思います。

もうひとつこの映画のみどころは英国紳士たちのスーツの着こなし。三つ揃いのスーツ、トレンチコート、皮鞄に手袋に革靴とまったくすきのないトラディショナルスタイル。オーソドックスなゲイリー・オールドマンに対して、伊達男コリン・ファースの茶系のコーデュロイやスエードブーツっていうスタイルもコントラストが効いててよかったですね。衣装や美術も凝ってて金かかってる感がありました。

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