2012年2月24日金曜日

Life is money

「TIME」アンドリュー・ニコル
まず、平日なのに満席だということに驚く。客層はほとんどが若いカップル。「たまにしか映画を見ない人たちがたまに見る1本として選ぶ映画」の基準が最近ますますわからなくなってきた。間違いなく面白そうなの見ようと思ったら普通見ないでしょ、「TIME」とか「三丁目の夕日」とかw 嗅覚以前にモチベーションが違うんだろうね。閑話休題。

「ガタカ」の監督ってことで少しは期待してたんだけど、「余命=通貨であるような世界」がなんら哲学的な命題を含意せずに見事に表層だけを滑っていく様はまさに「滑り芸」と評したいほどの完成度で、それはそれですごいと思うんだけやっぱりつまらない。ルール自体は明快でもそれを掘り下げていくとプリンシプルが歪むような生と密着したルール運用にハッとさせられるっていうことは、政治でもスポーツでも芸術でもあると思う。その掘り下げを忌避したことによって、この映画が何を獲得したか。作家性? ポピュラリティー?

否、何もない。「近未来のボニーとクライド」に徹するならその意匠のみで勝負すればよかった。けっして軽くはないテーマの掘り下げられることのなかった「暗部」は、この映画が必死にPOPに浮かび上がろうとしているのを「呪い」として阻止している。なぜそれを語らないのか、と。個人的には、貨幣を文字通り命に見立てるという試みによって、新たな地平を切り開いてほしかった。というか、それ以外に何も期待してなかったんだけど。面白くなるチャンスを幾度となく放棄していたので「退屈だった」以上の大きな虚無感に襲われましたね。

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