「贖罪」黒沢清
WOWOWで放映した湊かなえ原作の連続ドラマをオールナイトで鑑賞。「オチ」のひどさに目をつぶれば各女優のパートはメチャクチャ面白かった。でも本当は、脚本家であり演出家であったキヨシがオチを含めて原作をどう料理したかという、苦心の痕跡がありありと見える様がファンにはたまらないのだ。まあでも第5話はどう贔屓目に見てもわけわからんよね。
蒼井優と森山未來、小池栄子と水橋研二、安藤さくらと加瀬亮、池脇千鶴と長谷川朝晴。で、ラストに小泉今日子と香川照之。とまあ男女の話を主軸に25歳の女たちが15年前のトラウマにそれぞれの形で落とし前をつけて行く話なんだけど、オムニバスとして見ると、最初の4話は出色の出来映えだったと思うんです。
黒沢清がここまでまっすぐ「女優」撮ったことってなかったよね。このドラマを見たあとだと「叫び」の小西真奈美とか「LOFT」の中谷美紀とかもなくはなかったけど、いわゆる女性性の体現者という意味での女優ではなかったんじゃないかという気がしてきます。あくまで俳優っていうかね。(あ、洞口依子……。)
これってなんだろうって考えたときに一番わかりやすいのはやっぱり「テレビパワー」なんじゃないかなってこと。外的な圧力がどこまで働いたかは知らないけど、映画ファンじゃなくてテレビ視聴者に向けてつくるっていうのはもう無意識レベルでいろいろと違ってきてしまうと思う。
突出した作家性が一般性を獲得しようとしたとき、作家性は埋没してしまうんじゃなくて、よりその輪郭をくっきりと浮かび上がらせるんじゃないでしょうかね。否応なく出てしまう手癖みたいなものが突出して見えるんですね。結果、「テレビドラマ」とも「映画」ともつかないとても奇妙な傑作になっていたと思います。
トークショーに来ていた安藤さくらの、監督の意図に自分の拙いアイデアを乗せちゃうことで台無しにするのはもったいないと思ったから何もしなかったという趣旨の言葉にはとても聡明さを感じましたが、まさにその通りで、何もしないことで女優たちは演出家によって最良の部分を引き出されていましたね。
このドラマを撮ったことが少なからず映画監督黒沢清に影響を与えたと思うと、次回作以降がますます楽しみになります。
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