2014年6月13日金曜日

フューチャー&パスト、ハイ&ロー

「X-MEN フューチャー&パスト」ブライアン・シンガー
「X-MEN」は前作の「ファースト・ジェネレーション」が大傑作だったので、続けてマシュー・ボーンに撮ってほしかったけど、監督はシンガーに戻りましたね。まあ安定感はあるけど、突き抜けてはいないよなあ。

タイムシフトを兼ねたラストミニッツレスキューもので、細かいところを気にしなければよくできていると思う。しかし、アクション映画として何とも物足りなかったのが、冒頭で大暴れするセンチネルがすごい魅力的かつ強すぎる敵として出てくるんだけど、結局このセンチネルと戦って勝つっていうシーンがないんだよね。そもそも、無理ゲー過ぎるから過去にタイムシフトして現在を変えようっていう話だからしかたないんだけど……。

今回も描かれている時間の幅、タイムスパンは大きいんだけど、歴史的重層感っていう点から言っても圧倒的に「ファースト・ジェネレーション」の方が厚みがあったなあ。個人的には「X-MEN」シリーズには単なる娯楽大作として消費されるだけで終わるような作品群にはなってほしくないので、エジプトっぽいラストシーンから連なる次回作に期待。

「ファースト・ジェネレーション」の感想はこちら。
http://sokozero.blogspot.jp/2011/07/sf.html


「とらわれて夏」ジェイソン・ライトマン

「マイレージ・マイライフ」「ヤング≒アダルト」とここ2作が出色の出来映えだったジェイソン・ライトマンの新作。コミカルなタッチの前2作と比べると、かなりシリアスに振ってきた感があるが、演出力があるってこういうことなんだなあっていうのを実感した1本になった。

冒頭のスーパーマーケットのスリリングな展開から、押しかけてきた脱獄囚にひきこもりがちな母子家庭の母親が心を開くまでの序盤がまず素晴らしい。夏の汗ばんだ肌にまとわりつくような暑さを通奏低音に、3人が一軒家で過ごす濃密な非日常を丁寧に描写する。特に印象的だったのが、1階と2階をつなぐ階段を生かした演出だ。ブローリンとウィンスレットの関係が急速に濃密になるピーチパイの夜をはじめ、息子がブローリンの寝顔をのぞき込むシーン。そして、ブローリンの回想シーン。さらに、サイレンの音を聞くラスト近くと、「事件」は常に階段で起きているといっても過言ではない。

思い返せば、「マイレージ・マイライフ」でクルーニーが「気の迷い」から出張先で出会った女の家を訪ねてしまうシーン。「ヤング≒アダルト」で元ボーイフレンドのホームパーティーでセロンが白いブラウスに赤ワインを浴びるシーンも、階段ではないが印象的な高低差があった。ともに、最高のクルーニー感、セロン感が味わえるシーンだ。

結局、マウントを取り合うような垂直方向の人間関係が彼らを苦しめるわけだけど、最後には見事にそこから卒業していくっていうのは美しすぎる見方かな(笑)。全然違う文脈だけど、パン屋の粉だらけのマウスとか、ああいうディテールにわけもなく涙が出る。一瞬しか映らないが素晴らしい質感だった。

「ヤング≒アダルト」
http://sokozero.blogspot.jp/2012/03/blog-post_12.html
「マイレージ・マイライフ」
http://sokozero.blogspot.jp/2010/03/blog-post_24.html

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