2013年3月16日土曜日

アコーディオン族

●iTunes Store にあったドキュメンタリー映画で知ったんだけど、アコーディオン・トライブ(Accordion Tribe)というアコーディオン奏者5人のバンドがあった。国籍も音楽的なバックグラウンドも異なる5人が、1996年の結成以来3枚のアルバムを残している。メンバーはガイ・クルセヴェック(アメリカ)、ブラッコ・ビビッチ(スロベニア)、ラーシュ・ホルメル(スウェーデン)、マリア・カラニエミ(フィンランド)、オットー・レヒナー(オーストリア)の5人。

●5人は各々の国のフォークミュージックから出発して、皆自ら作曲も手がけるなどクリエイター色も強く、一見まとまりにくそうなメンバーだ。彼らがバンドとして演奏するのは誰かの持ち曲であることが多く、そのセットリストはバラエティーに富んでいる。

●この個性豊かなメンバーの中で一見して最も異色なのが、フィンランドのマリア・カラニエミだ。何しろ紅一点で1人だけボタン式アコーディオンを持っているのだから、いやでも目を引いてしまう。彼女はヘルシンキのシベリウス音楽院でクラシックの音楽教育を受けているということで、奏者としての技術レベルはおそらく最も高い。アンサンブルの曲もよく聴いているとマリアの粒のそろった繊細な音は他のおっさん4人とは明らかに一線を画しているのがわかる。そのマリアが、ツアーのセットリストの最後に選んだ曲がフィンランドの古い叙事詩的フォークソングで、ともに演奏するパートナーに指名したのがオットー・レヒナーだ。オットーは独学でアコーディオンを学び、ジャズを中心としたフィールドで活躍している。さらに、特筆すべきは彼が全盲であるということだろう。15歳の時に病気で視力を失ってからも演奏を続けている。ドキュメンタリーを見ていて、楽器とのシンクロ率が一番高いと感じたのが彼だ。

●マリアがライブの最後に選んだ”Tuttuni”という曲をまったく異なる文化的・音楽的背景を持つ2人がメインで演奏する。マリアのリリカルな蛇腹に力強さとはかなさを併せ持った歌声、オットーのホーミーのような倍音唱法とジャズっぽいアドリブが奇跡的なマリアージュを見せる。弾き終えるのを待たずにサングラスの下の頬を濡らしむせび泣くオットーとその姿に笑みをこぼすマリアに号泣必至w

・映画「Accordion Tribe - Music Travels-」(英語版)シュテファン・シュヴィタート
https://itunes.apple.com/jp/movie/accordion-tribe/id481973540

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