2014年2月17日月曜日

東への道

「ザ・イースト」ザル・バトマングリ ★ネタバレバレ
面白かった。マングリ監督は変わった名前だと思ったらイラン系フランス人の男性らしい。サンダンスで注目を浴びた社会派サスペンスということで気になって見に行った。リドリー&トニー・スコットが出資している。

金にものを言わせて公害とか薬害を垂れ流す大企業に対してある種のテロ行為を行う集団”ザ・イースト”。ヒッピーをもっとナチュラル原理主義的かつアンチキャピタリズム方向に軌道修正したようなこの左翼集団に、クライアントの大企業をテロから守る警備会社(?)のサラが潜入捜査を行う中で、葛藤しつつもオルグされていくという俺好み(笑)の話。

宣伝ではサスペンス推しだったけど、実際には恋愛映画であり、親子関係の映画であり、社会派サスペンスでも合ったって感じかな。潜入捜査だから、もちろん「ばれたらお終い」という怖さは常につきまとっているわけです。ただ、それよりも僕にとって面白かったのは”ザ・イースト”のドグマであったりライフスタイルであったりグローバリストの主人公がラディカルLOHASに毒されていく様を見ることだったりでした。個人的にはbeforeの主人公がもうちょっと戯画的にキャピタリストとして描かれていてもよかったかなと思いましたが、そういうわざとらしさもないのがこの映画のいいところだったっじゃないでしょうか。

左翼集団としての「ザ・イースト」が活動自体にそれほど矛盾を抱えていなかったのは、テロの対象となった企業に対してメンバーの私的な復讐という側面があったからでしょう。これが大義だけになるとやはりつらい。この点で観客はそれほど白けずに彼らの活動を見守ることができたはずです。それは主人公のサラにとっても同じことで、実際に大企業の被害者である彼らにシンパシーを感じないわけにはいかないし、彼らのLOHASな森での生活とアメリカの大都市での暮らしのどちらが狂っているかと言えばやはり、そこは都市生活なわけです。自宅に帰って、ふかふかのベッドで寝られずに床に寝るとかそういうわざとらしくない程度の描写がよかったですね。

やっていること自体は犯罪ですし、それほど緻密な人たちでもないので、わりとあっさり国家権力によって追い詰められてしまいますが、ある物を手に入れた主人公が、元メンバーの所詮親子(家族)関係に端を発する坊ちゃん嬢ちゃんの反抗を先鋭化させた形で引き継ぎ、純粋に活動的思想犯に「成長」していく様は見ていて清々しいものがありました。


「アメリカン・ハッスル」デビッド・O・ラッセル
「ザ・イースト」の後では少しぼんやりしてしまった感がありますが、詐欺の潜入捜査と聞いたときに期待してしまうようなトリックや裏切りよりも、佇まいを味わうような映画であったなあと思うわけです。スピード感のない「ヒズ・ガール・フライデー」みたいな(笑)

緊迫感のあるシーンももちろんありますが、それよりは俳優の衣装やセット、台詞回し、芝居を楽しむような演劇的な側面が濃厚にありました。主演の2人(クリスチャン・ベールとエイミー・アダムズ)をはじめ、最高に面倒くさいビッチ感を醸し出していたジェニファー・ローレンス、強面のジェレミー・レナーやロバート・デ・ニーロらの味出し勝負はかなり好きです。

で、問題は何で「今」これなのかなってことくらいでしょうか。面白かったからいいけど。


「ニシノユキヒコの恋と冒険」井口奈己
これも佇まい勝負だよな。MMK(モテてモテて困っちゃう)な和製ドン・ファン”ニシノユキヒコ”(竹野内豊)が死んで幽霊となってかつて付き合っていた女性の娘のもとに現れるというところから始まるファンタジー。そして、彼女がニシノの葬儀に訪れ、ニシノの女たちの長老とでも呼ぶべき阿川佐和子から、ニシノの女性遍歴を聞かされる→回想シーンというトリュフォー的な展開はワクワクしますよな。

中村ゆりかが学校から帰って庭で水を撒いているときに吹く風の不穏さで一気にテンション上がるんだけど、盛り上がりという意味ではそこがピークだったかな。その後も鉢合わせで不穏さが漂うシーンはあるけど、そういうことじゃないからなあ。そういう意味ではニシノがモテている以外特別なことは何も起きない映画って言えると思う。まあ見どころは麻生久美子から始まって阿川佐和子、小野真千子、本田翼、成海璃子、木村文乃ら、ニシノと彼にお熱を上げた女優たちのイチャイチャシーンなんだけど、そのバリエーションをお楽しみくださいってことかな。個人的には成海璃子だな。リコタソとお風呂入りたいな。

去年、新世界のチャランポとの対バンで見た、ぷちだおんのチューバの関島岳郎さんが楽団の一員として出てた。あの2拍子の曲がまた絶妙に不穏でしたね。ありものなのかゲイリー芦屋の仕事なのか。どちらにしても素晴らしい。

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