「エヴァの告白」ジェームズ・グレイ
この監督は結構前に「裏切り者」というのがまあまあおもしろかった。「裏切り者」は現代のアメリカを舞台にしたクライムサスペンスだったから今回の"The Immigrant"(移民)は随分趣が違うはずなんだけど、この監督の作家性なのだろう、今作でも見せたユーモアが介在する余地のない暗く救いのないシチュエーショントラジェディ的仕上がりになっている。基本的にはそれほど嫌いではない。好きでもないけど。
マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナーと相変わらずミーハーと言って差し支えがないくらいベタに映画好きに訴えるキャスティングだが、それが作品の魅力に繋がっていないところもこの監督の作家性なのだろうか。おもしろかったのは、ひたすら1920年代のニューヨークでポーランド語を話すユダヤ系と思しき移民のマリオン・コティヤールの芝居であり、ホアキン・フェニックスが座長を務める一座の舞台と舞台裏、お風呂、エリス島の拘置所といったディテールなのだ。こういうよくできたイキフン映画も別にあってもいいと思う。しかし、マリオン・コティヤールは美しかったがもったいなかった。ピアフが代表作の彼女にはいかがわしいボードビルの舞台にも期待したが結局なにもさせなかった。まあ贅沢。
ただ、彼女のようには美しくもなく英語もできない身寄りのない数多くの移民は、当時のニューヨークおよびアメリカでどのような困難を強いられていたのかと想像する。ただ打ちひしがれて生に強く固執することもなく絶望の中で死んでいった「移民」のことを想像する。「物語」たり得なかった人たちの人生をどうしたって想像してしまう。自分だったら彼女のようにはサバイブできなかっただろうなと想像する。
邦題がいくつかの映画を想起させるけど、これも悪くはないと思う(印象的なシーンに由来するタイトルだ)。でも、館内に貼ってあった「美しいことは罪ですか?」というコピーはさすがにひどいと感じた。「かわいいだけじゃダメかしら」的な(笑)
「ダラス・バイヤーズ・クラブ」ジャン=マルク・ヴァレ
マコノヒーとレトが本当によかったし、メガネの女医もよかった。医者も無知で差別主義的だけど、患者はもっとひどいわけで、まずはHIV陽性ということに対する周囲の拒否感というのに削られるわけです。精神的にマッチョな(マコノヒーもそうだったわけだが)同僚がスーパーマーケットで女装したレトとの握手を拒むことから始まる一連のシーンは、健康志向とともににわかにヒューマニティを獲得したマコノヒーの帯びたユーモアと真に女性的な軽やかさ(チャランポランさ)をまとったレトの乙女心が垣間見える傑出したシーンとなった。
特に薬に関して製薬会社と医師や病院の組織的な悪を告発しているという社会派的な側面も色濃いわけだが、どこかあきらめ顔風に感じるのは僕のうがった見方だろうか。ブレーキのない汽車に乗りながら、そこから降りるために、燃料切れ、あるいは脱線や衝突さえをも消極的に待ち望んでいるというのが正直なところかもしれない。
ちなみに一番笑ったのは「陽性」の女性と思い切り元気よくファックするシーンでした。
「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」ジェフ・ワドロウ
クロエ=グレース・モレッツは嫌いじゃないけど、ちゃんとした大人にはなれないと思う。別にちゃんとした大人になる必要はないし、僕もなっていないので人のことは言えないんだけど、クロエ=グレース・モレッツはドリュー・バリモア的な大人になると思う。
クロエが同年代の女の子と親交を深めたり、男の子をデートに誘ったりと一見浮ついた振る舞いに傾倒するも、まったく没頭感がなかったので、そこはもう少し本気でそっちの方に夢中になる感があってもよかったと思う。その方が裏切られて復讐して戻ってくるときの感動が大きかったと思う。クロエがイケイケの子にダンスで勝つシーンはカットを割りすぎていて何が見せたいのかまったく分からなかった。個人的にはキレキレのセクシーダンスにアクロバティックな演武が勝てるわけではないと思うのだが。
Sick Stick(通称ゲロゲリ棒)は偉大な発明だが、映画においていいゲロと悪いゲロがあるとしたら、この映画のゲロは悪いゲロだ。みんな乳酸飲料みたいなさわやかで粘度が低く透明性の高いゲロを大量に吐いてて、ちっとも笑えなかった。疑似のゲロをつくらせたらいい仕事をする自信はあるが、リアルすぎて俳優が口に含めるかどうかという問題が発生すると思う。というわけで総合的にイマイチでした。
この監督は結構前に「裏切り者」というのがまあまあおもしろかった。「裏切り者」は現代のアメリカを舞台にしたクライムサスペンスだったから今回の"The Immigrant"(移民)は随分趣が違うはずなんだけど、この監督の作家性なのだろう、今作でも見せたユーモアが介在する余地のない暗く救いのないシチュエーショントラジェディ的仕上がりになっている。基本的にはそれほど嫌いではない。好きでもないけど。
マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナーと相変わらずミーハーと言って差し支えがないくらいベタに映画好きに訴えるキャスティングだが、それが作品の魅力に繋がっていないところもこの監督の作家性なのだろうか。おもしろかったのは、ひたすら1920年代のニューヨークでポーランド語を話すユダヤ系と思しき移民のマリオン・コティヤールの芝居であり、ホアキン・フェニックスが座長を務める一座の舞台と舞台裏、お風呂、エリス島の拘置所といったディテールなのだ。こういうよくできたイキフン映画も別にあってもいいと思う。しかし、マリオン・コティヤールは美しかったがもったいなかった。ピアフが代表作の彼女にはいかがわしいボードビルの舞台にも期待したが結局なにもさせなかった。まあ贅沢。
ただ、彼女のようには美しくもなく英語もできない身寄りのない数多くの移民は、当時のニューヨークおよびアメリカでどのような困難を強いられていたのかと想像する。ただ打ちひしがれて生に強く固執することもなく絶望の中で死んでいった「移民」のことを想像する。「物語」たり得なかった人たちの人生をどうしたって想像してしまう。自分だったら彼女のようにはサバイブできなかっただろうなと想像する。
邦題がいくつかの映画を想起させるけど、これも悪くはないと思う(印象的なシーンに由来するタイトルだ)。でも、館内に貼ってあった「美しいことは罪ですか?」というコピーはさすがにひどいと感じた。「かわいいだけじゃダメかしら」的な(笑)
「ダラス・バイヤーズ・クラブ」ジャン=マルク・ヴァレ
マコノヒーとレトが本当によかったし、メガネの女医もよかった。医者も無知で差別主義的だけど、患者はもっとひどいわけで、まずはHIV陽性ということに対する周囲の拒否感というのに削られるわけです。精神的にマッチョな(マコノヒーもそうだったわけだが)同僚がスーパーマーケットで女装したレトとの握手を拒むことから始まる一連のシーンは、健康志向とともににわかにヒューマニティを獲得したマコノヒーの帯びたユーモアと真に女性的な軽やかさ(チャランポランさ)をまとったレトの乙女心が垣間見える傑出したシーンとなった。
特に薬に関して製薬会社と医師や病院の組織的な悪を告発しているという社会派的な側面も色濃いわけだが、どこかあきらめ顔風に感じるのは僕のうがった見方だろうか。ブレーキのない汽車に乗りながら、そこから降りるために、燃料切れ、あるいは脱線や衝突さえをも消極的に待ち望んでいるというのが正直なところかもしれない。
ちなみに一番笑ったのは「陽性」の女性と思い切り元気よくファックするシーンでした。
「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」ジェフ・ワドロウ
クロエ=グレース・モレッツは嫌いじゃないけど、ちゃんとした大人にはなれないと思う。別にちゃんとした大人になる必要はないし、僕もなっていないので人のことは言えないんだけど、クロエ=グレース・モレッツはドリュー・バリモア的な大人になると思う。
クロエが同年代の女の子と親交を深めたり、男の子をデートに誘ったりと一見浮ついた振る舞いに傾倒するも、まったく没頭感がなかったので、そこはもう少し本気でそっちの方に夢中になる感があってもよかったと思う。その方が裏切られて復讐して戻ってくるときの感動が大きかったと思う。クロエがイケイケの子にダンスで勝つシーンはカットを割りすぎていて何が見せたいのかまったく分からなかった。個人的にはキレキレのセクシーダンスにアクロバティックな演武が勝てるわけではないと思うのだが。
Sick Stick(通称ゲロゲリ棒)は偉大な発明だが、映画においていいゲロと悪いゲロがあるとしたら、この映画のゲロは悪いゲロだ。みんな乳酸飲料みたいなさわやかで粘度が低く透明性の高いゲロを大量に吐いてて、ちっとも笑えなかった。疑似のゲロをつくらせたらいい仕事をする自信はあるが、リアルすぎて俳優が口に含めるかどうかという問題が発生すると思う。というわけで総合的にイマイチでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿