「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」アレクサンダー・ペイン
「父ちゃんの入れ歯めっかった?」という「パーマン」オマージュのシーンが素晴らしかった。なぜに線路? そして「これは父さんのじゃない」という息子の冗談に対して、「これは俺のじゃない」と親父が返すシーンで高まる緊張感。そして、入れ歯を装着して歯を剥き出しにして見せる父。それを切り返さずに引きで見せるのが素晴らしかった。テンションコードからのアクロバティックな解決。「シンプル・プラン」のビリー=ボブ・ソーントンを彷彿とさせる迫真の冗談。あれで、その先2時間ボケボケのはずの親父の一挙手一投足から目が離せなくなる。うまい。どうやったらこんなシーンを思いつくのかな。
後半の田舎の強欲な恥知らずたちが賑わすドラマも、あの親父のテンション(非和声音)が通奏低音として鳴り続けていたため、安直なヒューマンドラマに解決することなく、父親と息子の関係はre-solutionではなくsolutionとして一度目の生に立ち現れてくる。
「それでも夜は明ける」スティーブ・マックイーン
ビックリするほど良いというわけではなかったが、考えさせられるところはあった。まず、せっかくワシントン在住で教育もあって社会的地位もあって家族もいる「自由黒人」(そんな言葉知らなかった)が何で奴隷に!?ってひどいじゃないかってみんな思っちゃうと思うんだけど、この映画の主題の傍系として浮かび上がるのは、じゃあ教育のある黒人は自由であるべきで南部育ちの「二ガー」は奴隷でもしようがないってことなの?ってことなんですよね。
主人公のソロモンは身なりもいいしバイオリンも弾けるし家族想いで社交性も教養もあって人柄もよさそうだから、親の代から生まれついての奴隷っていう人とは違って、「なんでそんな人が奴隷に」っていうギャップがあるのね。彼は本来、奴隷であるべきではない、っていう発想の裏側には本来、奴隷であるべき(が言い過ぎだったら「より相応しい」)人がいるっていうアイデアが内包されているということにこの映画は気づかせてくれるわけです。平穏な暮らしをしてきたソロモンに対して、ナチュラル・ボーン・スレイブよりも奴隷業(行)大変だろうなっていう同情が働いて、見る人は明らかに他の奴隷と区別してたと思う。実はそれって人種よりも本質的な「クラス分け」を同じ人間に対して行ってるっていうことなんだよね。
これって実は人種差別など断固根絶すべきっていう人たちが一方で、頭のいいほ乳類であるイルカやクジラを殺すべきではないっていうイデオロギーに通じるところがあるのだと思う。個人的には、そっちの差別の方が残酷なんじゃないのって感覚があるけど。
「父ちゃんの入れ歯めっかった?」という「パーマン」オマージュのシーンが素晴らしかった。なぜに線路? そして「これは父さんのじゃない」という息子の冗談に対して、「これは俺のじゃない」と親父が返すシーンで高まる緊張感。そして、入れ歯を装着して歯を剥き出しにして見せる父。それを切り返さずに引きで見せるのが素晴らしかった。テンションコードからのアクロバティックな解決。「シンプル・プラン」のビリー=ボブ・ソーントンを彷彿とさせる迫真の冗談。あれで、その先2時間ボケボケのはずの親父の一挙手一投足から目が離せなくなる。うまい。どうやったらこんなシーンを思いつくのかな。
後半の田舎の強欲な恥知らずたちが賑わすドラマも、あの親父のテンション(非和声音)が通奏低音として鳴り続けていたため、安直なヒューマンドラマに解決することなく、父親と息子の関係はre-solutionではなくsolutionとして一度目の生に立ち現れてくる。
「それでも夜は明ける」スティーブ・マックイーン
ビックリするほど良いというわけではなかったが、考えさせられるところはあった。まず、せっかくワシントン在住で教育もあって社会的地位もあって家族もいる「自由黒人」(そんな言葉知らなかった)が何で奴隷に!?ってひどいじゃないかってみんな思っちゃうと思うんだけど、この映画の主題の傍系として浮かび上がるのは、じゃあ教育のある黒人は自由であるべきで南部育ちの「二ガー」は奴隷でもしようがないってことなの?ってことなんですよね。
主人公のソロモンは身なりもいいしバイオリンも弾けるし家族想いで社交性も教養もあって人柄もよさそうだから、親の代から生まれついての奴隷っていう人とは違って、「なんでそんな人が奴隷に」っていうギャップがあるのね。彼は本来、奴隷であるべきではない、っていう発想の裏側には本来、奴隷であるべき(が言い過ぎだったら「より相応しい」)人がいるっていうアイデアが内包されているということにこの映画は気づかせてくれるわけです。平穏な暮らしをしてきたソロモンに対して、ナチュラル・ボーン・スレイブよりも奴隷業(行)大変だろうなっていう同情が働いて、見る人は明らかに他の奴隷と区別してたと思う。実はそれって人種よりも本質的な「クラス分け」を同じ人間に対して行ってるっていうことなんだよね。
これって実は人種差別など断固根絶すべきっていう人たちが一方で、頭のいいほ乳類であるイルカやクジラを殺すべきではないっていうイデオロギーに通じるところがあるのだと思う。個人的には、そっちの差別の方が残酷なんじゃないのって感覚があるけど。
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