2010年11月5日金曜日

「バッド・ルーテナント」と「ナイト&デイ」

下高井戸で「バッド・ルーテナント」2回目。やはり面白い。今回は物語の円環構造というか螺旋構造みたいなものがよりくっきりと見えた。この映画は「頑張れば報われる/頑張らなければ報われない」ということと「努力とか意志ではどうにもならない」という2つの矛盾したテーマを同時に内包している。そして、その矛盾が矛盾なく1つの画面に収まってしまうことがとても面白い。因果律を越えたところにある因果律。それはつがいを亡くしたワニや幻のイグアナの視線として描き出される世界だ。それは秩序だってはいないし、荒唐無稽でもない。可視でもあるし、不可視でもある。ただあるようにある様。そこに世界の縮図というか似姿を見たのだ。

ピカデリーが満席でヴァルト9へ新宿漂流。ジェームズ・マンゴールドを映画作家として顕揚している一派に属していたので、ビデオにしかなってない処女長編「美しすぎて」とかも見てるんですが、とても面白い監督だと思いますね。アンジェリーナ・ジョリーがアカデミー主演女優賞を獲った「17歳のカルテ」に代表されるように心の機微を描くのが非常にうまいです。深刻すぎずにユーモアがあります。それが、こういう大味な作品でも生きるんですね。マンガ的ですらあるトム演じる主人公のスパイにリアリティーを持たせるというか、納得させることができたのはトムという存在もさることながら、しっかりガールミーツボーイストーリーを丁寧に描いてるからだと思います。あり得ないということを楽しめるレベルにまで持ってきたというか。多彩なロケーションも楽しめましたし(夜のザルツブルクが特に良かった)、気絶させたり眠らせたりの「中抜き」もギャグとして生きてました(山中貞雄的な!?)。

あとね、この映画のメインターゲットは全世界の団塊ジュニアのフ女子たちだと思うんだけど(だからキャメロンは若くてかわいい子じゃない)、あの映画のトムはそりゃ格好いいけど、凡庸な日常から連れ出してくれる王子様信仰とか、オタクの処女信仰と同じだからね。まあでも夢見させてくれるんだから映画って本当にいいもんんですよね。

ちなみにタイトルで主人公の姓でもあるKnightが騎士と夜(裏の世界)を含意しているのに対し、Dayは昼と表の世界、そしてキャメロンの姓であるDiaz(スペイン語でDay)をかけているっていうメタな構造は面白いですね。普通の"night and day"は四六時中(夜も昼も)という意味ですね。しゃれてます。

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