・ちょっと前に見たオリベイラの「夜顔」。ブニュエル「昼顔」の後日談という設定でもう勝ちは決まったようなもの。ミシェル・ピコリとビュル・オジエという名優がレストランの広い個室で黙って食事するということがなんでこんなに面白いのか。コース料理をものの10分で平らげるさまは、前戯なしの本番のように荒々しく直截的ですがすがしい。バーでのイタリアなまりのバーテンとの掛け合いの妙味。絶妙にバランスを取る主体ではなく、バランス感覚そのものを見せつけられたような気分の六十分。六十分という尺がまた絶妙。もっと長くてもいいんだけど、ええ、もう終わり?と名残を惜しむ感覚がまた快感でもある。
・三池崇史「十三人の刺客」。宇多丸師匠がシネマハスラーで絶賛していたので見に行った。三池ってギャグに逃げないでちゃんと撮るとすごい面白い。最近の言い回しだと「普通に面白い」。三池は普通って言われるのが一番嫌なんだと思うけど、「普通」に撮れるってことが今や最大の強みなのだ。屋内のライティングとか時代劇をシネスコで撮ることを強く意識した画面づくりは「普通」以上の達成だと思う。松方弘樹に代表される時代劇の俳優、スタッフがもし今の代で終わってしまうなら日本映画界は大きな財産を失うことになる。時代劇へのオマージュであると同時に連綿と続く時代劇映画の伝統を継承しようとしているという点で、この映画はハリウッドにおけるイーストウッドの西部劇と同じポジションにあるのかもしれない。(偶然かもしれないが、ストーリーには「ペイルライダー」を想起させるところがある)
猟奇的な主君松平ナリツグを演じた稲垣メンバーは期待したほどではなかった。三池が60年代に撮っていたらもっとおどろおどろしい露悪趣味的なグラン・ギニョルになっていただろう。その点、この現代風アレンジはテーマの重みに比べて軽妙なエンターテインメントになっている。そこに異議は唱えないけど、そういう「真・十三人の刺客(ディレクターズカット)」も見たかった。たぶんナリツグの猟奇的レイプおよび殺人が増えて、チャンバラの尺は短くなる。まあ、そういうモノが見たかったという話w いや、「普通に」面白かったから全然お勧めなんだけどね。
伊勢谷友介って観察対象としては面白いけど、俳優としてはなんか大味で舞台俳優みたいな演技がどの映画で見ても浮いてる。今や彼の子どもの父親がキャンドル・ジュンだと思うととても感慨深い。
伊勢谷の浮きっぷりが目につくのはナゼなのか(´・_・`)
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