2010年4月6日火曜日

テンネンダイ('10s)始まったな

「ウッディ・アレンの夢と犯罪」と「バッド・ルーテナント」を見てきました。恵比寿ガーデンシネマの2本立てですね。

どっちもすごい面白かったんだけどね、モダンなアレンに対して、ヘルツォークはアヴァンギャルドでしたなぁ。アヴァンギャルドっていうのは、文字通り最前線で敵と直接やりあってる感じで、っつっても敵って誰よっていう話ですが、とにかく、みんなが怖がって直接対峙することを避けていた敵に向かって闇雲に拳を振り回しているようにみせかけて、的確に秘孔をついていた、みたいな。ムチャクチャやってる風でいながら、きちんとジャンル映画として成立していて、なおかつその枠には到底収まりきらない無軌道さを内包している完璧な映画。

腰痛持ちの刑事っていう設定がまず面白い。ぶかぶかのダブルのスーツを着たニコラス・ケイジの鈍重な動き(見た目)と鈍痛(イメージの痛覚)が通奏低音になっていて、ドラッグとかギャンブルとか危険な捜査によって噴出する脳内麻薬が高音として対位法的なコントラストで描かれている、っていうのがかなり技巧的に成功しているという側面がある。これはかなりテクニカルな部分だと思うんだけど、監督は、一見野蛮に見えて相当なインテリジェンスの持ち主だってことは推察できる(すいません。ヘルツォーク初見です)。

伏線といっていいのだろうか、蒔いた種を丁寧に刈り取るような周到さもあるんだけど、刈り取ったその実は食えるのか?という素朴な疑問が沸くような回収の仕方。それは回収に失敗してるのではなくて、お前はいったい何の種を蒔いたんだっていう。安直なタイトルとは裏腹に「バッド」を断罪するような単純さとは逆方向に向かうベクトル、といってもそれは「悪とは何かを問う」的な問題提起ではなくて、善とか悪を相対的に位置づけることで成立しているかに見える世界に揺さぶりをかけるようなね、そんな映画。最後のシーンが終わって、画面が暗転したときに思わず「おもしれぇ!」ってつぶやいてしまった。そんな映画って滅多にないよ。

とにかく、最近みた映画の中では群を抜いて面白かったですね。エンドクレジットで流れる
Iguana, alligator footage by Werner Herzog
っていうのをたまたま見つけましたけど、これ感動的ですよ。是非見てみてください。

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