イーストウッドの『グラン・トリノ』を見たので感想ぐらい書いておこうと思う。
ひと言で言えば、イーストウッドはキリストになったていうことなんだけど、その表現の安直さとか、そこに至るプロセスの単純さにはユーモア以上のものを感じなかった。おそらく、イーストウッドとしては初めて、復讐を他人の手に、それも司法に、つまり国家に委ねたわけで、それは単に老いとか諦念とか保守化では済まされない意志を感じる訳だ。「もう俺がやんなくてもいいじゃん。卑劣な奴には天罰でいいよ」くらいの積極的な投げやりさと言ったら怒られるだろうか。
ただそれは見ていて全く力強さを欠いたものではなく、むしろ凄みをたたえていた。それは幽霊より、保安官より、刑事より、天罰の方が怖いだろう。キリスト化したイーストウッドは悪い冗談というよりもとても良質な教育だという気がする。
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