2015年5月21日木曜日

XD

忘れないうちに映画の感想を書いておこう。グザヴィエ・ドランが出色ですね。

■『セッション』 デミアン・チャゼル
アンドリューがドラムを叩いている廊下の奥の部屋にトラックアップしていくファーストショットの居心地の悪さにこの映画への期待は霧消した。フレーミング、カメラ位置、被写体に近づくスピード。そうしたひとつひとつがいちいちしっくりこないのは、おそらく文法的に間違っているのだろう(それは演出としての居心地の悪さではなく単に出来の悪さとも言い換えることができる)。そういうレベルの映画ということでそんなに騒ぐほどのことはないんじゃないかなと。画面より観念が見たい人向けの映画だよね。

■『バードマン』 アレハンドロ・G・イニャリトゥ
文字通りの舞台裏を縦横無尽に行ったり来たりするカメラはそれだけでも面白いけど、どこでカット割るんだろうってことが気になり出すと結構それに注意を持っていかれてしまう。『バットマン』の俳優が迎えた「中年の危機」を、「ハリウッドスターとしての成功」では得られなかった「アーティスト」としての評価を「ブロードウェイ」で得ることで乗り越えようとするっていうドタバタをワンカメ(に見える)で追っていくのはストーリーも見せ方も確かに巧いし感心もする。マーベルやSNSを揶揄しながらも、バズることで他者の承認を得る演劇人を描くほどほどに知的な態度にも感心する。爆笑問題の漫才みたいに感心する。けど以上。

■『薄氷の殺人』 ディアオ・イーナン
宮部みゆき原作とかそんな感じ。バラバラの遺体が各地で見つかるトリックはシャーロック・ホームズで似たようなのがあったね。中国東北地方という舞台が舞台だけに面白くなりそうなのになり損ねた感じがもったいない。北朝鮮の国境で牛骨振り回してた映画の方が断然面白かったなあ。石炭の工場とか寒そうなロケーションは抜群にいいんだけど、いかんせん話がメロウ過ぎた。

■『トム・アット・ザ・ファーム』 グザヴィエ・ドラン
シャブロル(とかオゾン的な)サスペンス感 meets デプレシャン的な緊張感のある家族関係。役者ドランも素晴らしい。こういうのをやらせても巧い、とは思うけど『わたしはロランス』や『Mommy』のむき出しで勝負してる感じと比べてしまうと、ドランにはこういうギミックは要らないのかなと思ってしまう。ドランのようなフィジカルエリートは得物持つより素手で勝負した方が面白いし、強い。

■『Mommy/マミー』 グザヴィエ・ドラン
スティーブを演じていた主演の男の子がすごい。何がすごいってホンモノにしか見えないというごく表層的な演技のレベルですごい。
個人的にはより普遍的な人間関係を描いてるという点で『ロランス』の方が好きだけど、『マミー』はたぶん同時代でユスターシュの『ママと娼婦』とか見てたらこれくらいの衝撃だったのかなというレベルのすごい映画だと思う。セリフがフランス語だから、パリ郊外くらいの感じで見てると、いきなり飛び込んでくるロケーションの非フランス感(=カナダ感)に突き刺される瞬間がある。この一作でドランは最も注目する監督になった。

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